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2005/07/03

絹の靴下 Silk Stockings

〈1957年、米作品 おすすめ度★★★★〉 
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昔からアステアもケリーもあんまり好きじゃなかったんだけど「ザッツ・エンタテインメント」シリーズを見て気が変わりちょっと見てみることにしました。好きじゃない理由は、アステアに関してはどの映画のシーンを見ても「おじいさん」にしか見えず(汗)、おじいさんが軽やかにタップを踏むのがなんか異形の者の芸、みたいでちょっと怖かった。あとは、なんでこんなおじいさんが若い女の子にモテる役なのかわからん!というのがもうひとつ。

なのでジュディ・ガーランドは好きだけど「イースター・パレード」はちょと勘弁って感じだった。今回選んだのはこの1本。

絹の靴下 特別版
B00009KM0Kフレッド・アステア ルーベン・マムーリアン シド・チャリシー

ワーナー・ホーム・ビデオ 2003-07-04
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おすすめ平均star

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ミュージカルファンの人たちの間ではアステア「最後の」MGMミュージカル映画とされているもので、完成したのも1957年とすでにMGMの黄金期は過ぎています。この作品を選んだ理由は「ザッツ」シリーズ最後?の「ザッツ・ダンシング」に出てきた「ザ・レッド・ブルース」が見たかったから。そこでくるくると回る相手役のシド・チャリースがもうホント素敵なんすよ。

というわけでやっとアマゾンから届いたんで見ました!
以下ちょとネタバレです。

当時アステアはすでに57歳で、プレーボーイの役でもあるこの主人公を受けるのを渋った、という話をメイキングでおばあさまになったシド様がしてました。確かにホントに歳とってる感じはあるんだけどそれが意外と不自然に感じませんでした。

この物語はグレタ・ガルボ主演で映画化された「ニノチカ」のリメイク。シド様も気の毒っすよね、絶世の美女ガルボと比べられるんじゃ…。ストーリーは、ソ連からパリへやってきた音楽家が帰国しようとせず、帰国させるべく派遣された3人の使節もすっかりパリに染まって戻ってこない。このためソ連はバリバリの共産党員ニノチカ(シド・チャリース)をパリに派遣する、というもの。

まずこの3人組のコミックリリーフが楽しい。このままソ連に帰ったらシベリア送りになっちゃう、っていうのもネタにして軽く歌っちゃうし。そして無表情でタイプライターをダダダダダダ!ってすっごい勢いで打つニノチカもおもしろい。私はかなり大きくなるまで共産主義があって冷戦の時代に大きくなっているのでそれほど違和感はないけれど、あの時代を知らないいまの若い人たちにとってはなんのこっちゃ、って感じかもしれないなー、などと思いつつ。

アステアはアメリカ人の映画スターで、帰国を渋るロシア人作曲家の曲を新作映画に使いたい。このためあの手この手を使ってソ連に帰さないようにする、と。この「口八丁手八丁」がまた嫌味に感じず。

でもやっぱり、シド様は踊らせたら本当に天下一品です。本当に手足が長くて優雅で。映画のタイトルにもなっている「絹の靴下」は資本主義の象徴として描かれているんだけど、やぼったい下着とタイツ姿のニノチカが「重要な案件ができた」なんて電話で話したあと、なんとひとつひとつそのソ連製の服を脱ぎ、絹の靴下をはいて、最終的に美しいレディーに変身するシーンは、見とれてしまいます。

そして派手すぎる動きはないけれどふたりのデュエットも軽快なナンバー。冒頭に書いた「ザ・レッド・ブルース」はいろいろあってソ連にいったん帰ったニノチカが仲間と一緒に踊るクライマックス。「ザッツ」の中では両端が切られちゃっていますが原作はワイドスクリーンで撮影されているんで、まわりのダンサーたちのロシアのコサックダンスっぽい動きを取り入れたものとともにすごく見応えがあります。バレエ日頃鑑賞してる人はちょっと邪道と思うかもしれないけど、私は好きですね。

あと「水着で売ってる映画スター」ってことはエスター・ウィリアムズですかね、っていう人が出てくるんだけどこの人とアステアの「Stereophonic Sound」というナンバーはワイドスクリーン撮影を皮肉ってるのと、グランドピアノのふたをバン!って閉じて微妙な残響が聞こえるのをうまく使った楽しい1曲でした。

最後にパリに戻って来たニノチカを前に、アステアが踊るのはロックンロール。それも燕尾服姿で、踊りの味付けは基本的には優雅なアステアっぽい感じっすよ(泣)。時代の流れというかなんというか、そういう意味でも興味深い一作でした。

ソ連のことをこきおろしすぎ、アメリカ(ま、パリで逃げてるけど)万歳、資本主義万歳!っていうご都合主義的なニオイがするのは否めないけど、ミュージカル独特の歌が突然入る唐突感みたいなものはそれほどなく、こなれたつくりになっているのでオトナにおすすめの一品です。

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