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2005/09/30

ロスト・メモリーズ 2009: Lost Memories

〈2002年 韓国映画 おすすめ度★★★+〉
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見たいような見たくないような、と思って延び延びにしていたこの作品、CS登場でようやく見る決心がつきました。安重根によるハルビン駅での伊藤博文の暗殺が失敗して、日本の朝鮮半島支配が続く2009年という大胆な設定、プラスと出るかマイナスと出るか、ドキドキ。

ロスト・メモリーズ
B0009Q0JLAチャン・ドンゴン イ・シミョン 仲村トオル

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おすすめ平均star

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それほどSFに詳しくなくても「パラレルワールド」というか過去をいじって未来を変えることによって生じる矛盾みたいなものは何となくあれこれと思いつくと思うのだが、微妙にそのあたりの詰め、あるいは設定がユルいので見ているうちにだんだんそこが気になってくる。

とはいえ、日本の朝鮮半島支配が続いていたら、という刺激的な設定は、韓国人から見た日本、という意味でもそれなりに興味深い。もちろん突っ込みどころ満載ですが(笑)。

以下感想とネタバレです。

2009年の京城(ソウルの植民地時代の呼び名)。朝鮮半島は日本の領土なので、道路は左側通行。世宗大通りの李舜臣将軍の像はもちろん豊臣秀吉に。FBIとよく似た捜査機関JBIに勤務する坂本(チャン・ドンゴン)と西郷(仲村トオル)は朝鮮の分離独立を訴える組織がたてこもった「伊藤会館」へ向かった。組織が奪いたかった物は何か。そして膨大な美術品コレクションを持つ、伊藤博文のあとの朝鮮総督「井上」とその子孫は何者か。

捜査が進むにつれて鉄壁と思われていた坂本と西郷の友情も揺らぎ始める。朝鮮系の人たちは皆プロの韓国の俳優さんなので日本語がややたどたどしいところもあるけど、主な日本人を演じているのも仲村トオルをはじめ日本人俳優なので意外に違和感はありません。プライベートでは2009年なのに純和風のお庭つきの家に住んでお着物、出てくる食べ物といえばおすし、おでんとステレオタイプではありますが…。

陰謀に巻き込まれてJBIを追われた坂本は意外な「真実」を知ることに。そして記憶の片隅にうっすら残っている女性との別れについても真相が明らかになっていきます。

にしても、これだけ劇的に史実が変わるとすると、同じ2009年に生存している人たちの2種類の人生っていうのが破綻をきたすことなく成立するのかどうか。ましてや史実を変えることを了解している人間たち(ドンゴン上司の大門正明…金田部長)の立ち位置はどうなる?などなど突きつめていくと全然つじつまは合いません。

映画が設定した「事実関係」をおさらいすると、伊藤博文の暗殺が失敗、日本の朝鮮半島支配がより強固なものになった、と。主な事件として出てきてわからなかったので見た後に調べたのは「尹奉吉(ユン・ポンギル)暗殺」という事件。この人は1932年に上海で開かれた天長節(天皇誕生日)の祝賀会で爆弾テロを起こして日本人の政府・軍高官の多くを死傷させた首謀者だそうです。この人が暗殺されたことでこの上海のテロも起こらず、ってことでしょう。

次に日本はアメリカと1936年に同盟を結ぶ。同盟国に原爆落とすことはないんで、原爆はベルリンに投下。その後日本は1960年には国連の常任理事国入りを果たし、1988年のオリンピックは名古屋で開催され、2002年のワールドカップは日本で開かれた…で2009年になりました。中国はどうした(爆)?

ってことらしい。満州の併合が1943年ってことになっていますが、いかに同盟を結んでいて、ヨーロッパで戦線が拡大したとしていてもアメリカが本当に満州の併合を認める?さらに「併合」ということばを使っているけど、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国もアフリカなどの植民地支配は20世紀の後半にほぼやめているのにアジアだけ日本がそのまま植民地支配を続けていられる、っていうのも説得力ないよね〜。

アクションは派手だけど、音楽や効果音も含めて「シュリ」のスピンオフっぽい匂いがして目新しさはなし…。こういう設定の映画を、日本人俳優を巻き込んでつくることができた、っていうことだけでは見る価値はなくもないとは思うけど、何が言いたいのかはもうひとつよくわからん、という作品になってしまったのがちょっと残念。坂本と西郷のラストもわりとありきたりだし。

2001年に製作された時期を考えると仲村トオルが今ほど売れていなかったと思われる(爆)ので韓国側にすればいい買い物だったのではないでしょうか。ほかの日本人の役者さんたちの顔ぶれの微妙さ加減からしても。

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