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2005/11/09

親切なクムジャさん Sympathy for Lady Vengeance

〈2005年、韓国作品 おすすめ度★★★★〉
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R-15指定つきのかなりハードな内容、ふだんだったらまず見にゆかない作品です。ユ・ジテ大好きなのに、予告編見ただけで怖くて「オールド・ボーイ」見に行けなかったくらいですからねw はい。いわゆる「復讐三部作」の前2作どっちも見ておりません。

ひとことで言うと「怖くて痛くてものすごく哀しいのに、つい笑ってしまう映画」でした。特に「痛い」っていうのを強調したいです。あと、ストレートに映像で見せるのではなくてCGがところどころで使われていてちょっと”球種”としては「アメリ」を思い出しました。夢はないですけど、たぶん。

クムジャ(イ・ヨンエ)は無実なのに6歳の男の子の誘拐殺人容疑で逮捕、13年間服役して社会復帰する。1歳の娘を人質にとられていたのだ。刑務所でついたあだ名は「親切なクムジャさん」。けれどこのクムジャの親切はある計画を実現するための方策なのだった。

以下ネタバレです。

イ・ヨンエにむ、頑張った!でも、どうしてもイ・ヨンエじゃなきゃいけなかったのかなぁ、とちょっと思ったりもして。無邪気な高校生(!!)から30代前半まで、特にすべてが終わったラストはちょっと老婆のようにも見えるくらいの入り込み具合。「般若」ともまた違う壮絶な表情でした。でもなんだか、「チャングム」とか使い古された「酸素のような女性」みたいなイメージを振り払いたくて落としたくて、みたいな感じもあって、すぱーっとタバコを吸ってみせたりするシーンにちょっと気の毒な感じすらしてしまった。

刑務所に共に収監されていた女性たちの生き方やフラッシュバックする逮捕当時の様子などから韓国社会の様子が見えます。姦通罪ってまだあったんだっけ…。とか、今でもKBSのニュース見てるとああやってマスクしてマスコミにもみくちゃにされたり、事情聴取を受けてる真横にテレビや新聞のカメラがいたりする場面見るよなー、とか。

そういうハードな逮捕→拘留→裁判を経て刑務所で暮らしたクムジャの仲間が、クムジャの親切--そう、これを見るとアメリのいたずらなんて本当に罪のないものだなあ、と思えるんですが--に全力でお返しをする、というのがこれまたすごい驚き。武器づくり、自宅の確保から究極はクムジャのターゲットであり、クムジャに罪を着せてぬくぬくと暮らしている男ペク(チェ・ミンシク)の妻となった女性まで!

またこのペクがもうどうしようもないほど悪い男。見かけはちょと気弱な感じもするんだけど、チェ・ミンシクさんですからねー。

出所して娘の居所を突き止めるが、そこはオーストラリア。13年ぶりに会った娘とは言葉すら通じない。そしてついにペクを追いつめるのだが、その先にはもっと壮大な復讐が待っていた。

アガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」をちょっと思い出しました。もっとうんと痛くて残酷ですが。この最後の大復讐にはクムジャの担当刑事(たぶんナム・イル…「遠い路」のソンジュのお父さんだった人ですね)も”参加”。なぜ刑事まで参加して、ナニ指導してるんですか?みたいなところもあり。

パク・チャヌク監督の作品、ということで私のようなど素人でもわかる、監督作品の出演者が豪華に1シーンだけの出演をしてました。ソン・ガンホ兄貴〜。あっという間でしたね。それもろくでもない役でw シン・ハギュンもあっけなくやられちゃうし。そして、ユ・ジテも出ました。すべてヨンエ様のために、って感じでしょうか?それとも「三部作終了チュッカヘー!」みたいな感じか?どのみちファンにはちとうれしいサービスです(ただし映画館の中で鑑賞中に声出さんでくれ…ゴルァ)。

復讐に燃えて長い間たんたんと計画を練っていたクムジャの得意技が美味なるケーキをつくること、というのもまた不思議。このケーキで最後は少しだけ救われるんだけど。クムジャは本当は救われたのか救われなかったのか。救われたと思いたいです。

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コメント

ピックさんこんばんは。

イメチェン、なるほどですね。とすると次にイ・ヨンエさんがどんな仕事をするのかが楽しみということになりますか。

個人的に思ったのは「クムジャさん」がいちばんマイルドでほか2作はもっと救いのない復讐劇と聞き、パク・チャヌクという人は何を訴えたいのかな、ってことですね。更紗さんは「復讐は何も生まない」という結論に達していますけれど。やはり3本とも見ないとわからないかも…。

「バンジージャンプする」気になってるのに見られていませーん。

投稿: ruko | 2005/11/19 22:17

更紗さんこんばんは。
韓国の女優さんにあまり詳しくないのですが、この前NHKの番組でパク監督は最初からイ・ヨンエをイメージしてつくったとのこと、確かに「ギャップ」が際立ちましたよね。きょう、Movieplusでパク監督の「オールドボーイ」「復讐者に憐みを」のメイキングをやっていて、見ようか見まいかまた悩んでおります。

投稿: ruko | 2005/11/19 22:15

rukoさん、こんにちは。

皆さんのコメントを読ませていただくと、
結構「通」の方には、「なるほど」と思わせる作品なのかもしれませんね。
私も怖い系は苦手なので、他の2作品は見てないし、
この監督の作品や作風を語れるほど韓国映画を殆ど見てないので、
単純にストーリーとヨンエさんの演技だけで
好き嫌いを書きました。

イメージの払拭というのは、ヨンさんのスキャンダルもそうだったし、
他の俳優たちも必ずバイオレンス系や戦争もの、
かなりハードな刑事とかそういう役柄を演じて、
こういう役もやれるんだぞ、というアピールをしますよね。
そういう風に感じてしまう一面は確かにこの映画にもありました。
やたらタバコを吸うシーンが多かったのも
それを意図したんだろうと私も思います。
ヨンエさんの演技力の幅は十分見せてもらえたと思いますが、
あとはこちら側の嗜好の問題なのかも(苦笑)
バンジーはすんなり受け入れられましたから、
結局、こういう系は、私は苦手なんだなと思いましたよ(-_-;)

投稿: ピック | 2005/11/18 13:59

こんにちは、これはイ・ヨンエだからこそ出来る役ですよ。
天使のような顔で、少女から女そして般若へと・・・
ゾクゾクする美しさがあるからこそ出来るのではないかしら

この監督の作品はいつも物議をうみますが
それでいいんだと思います。
復讐三部作では、この作品が一番インパクトは少なかったです。
全部見た結果「復讐は何も生まない」と思っています。

投稿: 更紗 | 2005/11/18 10:17

mitomitoさんこんにちは。
ユ・ジテ。えへへへ。地味に好きです。登場シーンは私もビビりました。どこかのblogに「クムジャ、ユ・ジテを殺しちゃまずいだろ」って書き込みがあってめっちゃ受けたんですが…。

彼はナイーブな役の方が好きですねー「リメンバー・ミー」とか「春の日は過ぎ行く」とか。でも当時DVDがなくて「リベラ・メ」のVCDをソウルで買ったりしましたっけ。懐かしい。

「復讐者」からDVD捜してみようか、と思ってます。できるかな…(汗)

投稿: ruko | 2005/11/18 10:03

おぉ!rukoさんもユ・ジテ好きなんですか。
ワタシも好きなんですよ~
今回の登場の仕方はなかなかオイシかったんじゃないでしょうか(ビビったけど…)
>顔が光るCG
思わずこれには笑っちゃいました。
怖いのに、笑っちゃう映画ですよね。

投稿: mitomito | 2005/11/18 02:40

stanakaさんこんばんは。
パク監督の作品はJSAしか見ていないので、もっとうんと「リアル」なもの想像していたので、顔が光るCGとか雲とかの味わいが意外でした。
売り方としては仕方ないのですが、むしろあんまりイ・ヨンエさんを前に出さなくても。。。などと思ってしまうのです。
韓国における誘拐とは、みたいなことが背景として知識にあるとまた違った見方ができるかも、ですね。

投稿: ruko | 2005/11/10 20:39

こんばんは!!
評価の分かれてしまう映画ではないかなと思います。ヨンエさんの演技が特に最後のシーンでの般若のような顔をするシーンは光っていました。もちろん、彼女の持っているキャラからするとかなり作っていると思われるので指摘されているように( ゚Д゚)y─┛~~吸っているシーンはちょっと合っていない・・・。
ロードショーがまもなくですが、どれくらいの動員になるか興味のあるところです。

投稿: stanaka | 2005/11/10 01:07

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