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2005/12/10

力作!クライマーズ・ハイ〈前編〉

キャストも贅沢だし、リアリティの追求も出色でした!惜しいのは2つ。日航ジャンボ機墜落を伝える新聞社の様子がリアル過ぎて一般視聴者には何のことかわからない部分があったのではないか。もう1つは若すぎる現代の安西jr。32歳にはどうしたって見えません。

4163220909クライマーズ・ハイ
横山 秀夫

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後編は17日午後7時半から放送。以下、解説?を兼ねた感想です。

いやー、まずキャスト。ステテコ姿こそ披露していましたがw、佐藤浩市みたいにかっこいい遊軍のおじさん(悠木)なんて、会ったことないなぁ orz。のっけから寺島進があんな形で出てきて衝撃だし。カメオといえば格好いいけど、まさかNHKデビュー?

社会部デスクの田沢(光石研)がちょっと本を読んだときと印象が違っただけで、政治部デスクの岸(松重豊)、そして社会部長の等々力(岸部一徳)なんてもうぴったりすぎました。ああいうミョーな色眼鏡かけてるおっさん、いるいる。安西(赤井英和)や悠木の妻(美保純)、佐山(大森南朋)は、なるほど、という味です。佐山の服装と髪型がめっちゃ1985年してますね。石原さとみ、特別扱いかぁ。

原作者の横山秀夫は前橋に本社がある地方紙、上毛新聞で10年以上、記者生活を送った人です。「キタカン(北関東新聞)」はそのまま上毛新聞に変換して読んでもいいのかも。ゆえに新聞社内の力学や、えらくなる(=出世する)のは誰なのか。そして現場の記者たちが味わう「天の声」によるフラストレーションなど、描かれていることはどれも「新聞社も結局は『会社』なのね」と実感できます。

そして「だって(事故機の搭乗者524人は)ウチの社員より多いんだぜ」(整理部デスク)のことばに象徴されるように、規模の小さい地方紙ではそうした力学による揺れが直接ヒエラルキーの最下部まで届くことも、恐らく多い。

また、人数が少ないだけに、全国紙が「下手な○×も…」的に大量の記者を投入して(地方から人を招集することも)人海戦術で取材を進めるのに対して、限られた人数で大事件を追わねばならず、足りないものは通信社の原稿で補わなくてはならないだけに、ストレスがまた違うベクトルにも働きます。

後編では「特ダネ(スクープ)」が核心となってきますが「(特ダネを)抜く」あるいは「打つ」ことは、新聞記者の使命とされているので、それができた(抜いた)か、できなかった(抜かれた)か、というのは存在意義に関わったりしてしまいます。なので、深夜の焼き肉屋でああいうイヤな話になっちゃうわけで。

肩書きと登場人物がたくさん出てきて混乱しますが、偉い順に 社長(杉浦直樹)>編集局長(大和田伸也)>(編集)局次長(塩見三省)>(社会)部長(岸部)>デスク>ベテランの「遊軍」(佐藤浩市)>(県警)キャップ(大森)>部員 とおりていきます。 

8月12日夜の編集局の描写で、常に後ろで「ピー」といっていた電子音は、共同通信が大きめのニュースを配信する前触れに鳴らす音で「ピーコ」と呼ばれています。この音が鳴ったら、何を言っているのかちょっと注意を払う必要がありますが、外電から国内の事件まで、新聞が製作されている時間帯にはわりと頻繁に鳴っていて、情報もどんどん更新されていきます。

日航機が群馬・長野の県境に墜落したことを告げるときに鳴った鐘のような音は、大事件が発生したときにだけ鳴る音で、この音と共に前触れがアナウンスされるニュースは、新聞なら1面、テレビ局ならトップニュースにする価値がほぼ確実にあるもの。

日航ジャンボ機の墜落事故は、現在、現役で報道に携わっている人間の周囲にはたいてい、御巣鷹山にあの日登ったり、事故機に搭乗していた人の周辺取材にあたったりした先輩がいて、何かのときに当時の生々しい話を聞いているもの。現場に行け!と言われたものの違う山に登っちゃった人とか、たどり着けなかっただけでなく急峻な山で遭難しかけた人とか。もちろん、現場にたどり着いてしまった人たちの話は20年たった今でも強烈で戦慄が走ります。

NHKは事故から20年に当たる8月12日に特に何か「!」と思われる番組をつくっていなかった気がしていたのですが、こうきたか、という感じもあり。

8月12日にはフジとTBSがドキュメンタリードラマのようなものを放映してレビューも書いたんだけど、不思議なことにTBSは当時のニュース映像(というか、墜落を伝えるニュースそのものの映像)などをほとんど使っていませんでした。まさか、残ってナイの?

NHKはテッテー的でした。事故の一報を伝える白いスーツ姿の松平アナウンサーや、こどもニュースの元「お父さん」池上さんの若かりし姿が北関東新聞社の報道局でさりげなく流されてたし、さらには朝の悠木家では朝ドラの「澪つくし」が見られるという念の入れようでした。

報道の世界では事件のことを「ヤマ」といったりもしますので、悠木はいちどきにたくさんのヤマを登らなくてはならなくなりました。にしても、20年前に携帯電話があったりしたら、いったいあの時はどんな報道になったのでしょうか…。

後半もこれからまだいろいろ大変なことが起きるんだけど、ペースとしてはこんなもんなんだろうか。あと75分に収まるのかな?もう1度原作読まなきゃ。あと、現代へのフラッシュバックが少ないね。やっぱり山(衝立岩)まで登らせるのは大変過ぎたってことなんでしょうか?

【追記】後半も見せました!DVD化してくれないかなぁ。レビューはこちらです。

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コメント

うだじむさん、お運びいただきありがとうございます。

赤井英和の群馬弁に関してはダメ(笑)という厳しい感想もありましたが、ほかのみんながガツガツ、ギラギラしているのにちょっとホッとしました。病院のシーンで目を閉じていたのがちょっと残念だったのですが…。

松重豊っていい役者さんなんですがキモイ役に振られることが多かったので今回はちょっと小躍りしてしまいそうに嬉しかったです。

後編が終わったらまたお邪魔しますねー。

投稿: ruko | 2005/12/12 22:12

はじめまして
コメントありがとうございました。
夏ぐらいから、地元でのロケの話を聞いていましたので楽しみにしていました。
いいドラマですねー。
松重豊と岸辺一徳がいい味を出していますねー。原作のイメージそのままでした。
赤井英和が必要以上に群馬弁で話しているのが気になりましたが、原作でも方言丸出しなんですよねー。
よかったら、また遊びにきてください。

投稿: うだじむ | 2005/12/12 22:01

Gun0826さん、お運びいただきありがとうございました。

こういうドラマを見られると、うれしいですね。最近は海外ドラマ(アメリカが中心ですが)をよく見ていて、日本のドラマのコンビニ感、というのか、質の低下を秘かに憂いていたので…。

NHKも、去年期待していた「シェヘラザード」(浅田次郎)が見事な駄作になってしまって心配していたんですが、本当の底力を感じました。あれだけの役者を集められてしっかりつくれるのは、やっぱりNHKでしょう。ちょっと悔しいけど。心ある制作者たちに、本当に頑張ってほしいです。

投稿: ruko | 2005/12/11 23:02

トラバとコメントありがとうございました。
ほんと時代感を出すためのリアリティに久々
こだわってたドラマだったと思います。
子どもニュースのお父さんの件、俺も「あ!」
と思いました。
今、民放のドラマはこういう史実? をもとに
したドラマを作る際にも、何というか、考証が
雑というか、もっと違うとこで視聴率をとろうと
してるというか、な気がします。
NHKはいろいろ問題あってもうダメかもわからんね、ですが、こういうドラマ作ってくれてるうち
は希望が持てます。
後篇も楽しみです。

投稿: Gun0826 | 2005/12/11 22:48

Rurameiさんこんばんは。
えへ。アンチョコ(原作本)手元にありますもんw 佐藤浩市も渋いですが、松重豊がけっこう好きなので久しぶりに和み系のキャラクターを振られて満足だったりします。

新聞社内のことはまぁ、これ以上具体的に書くと差し障りがありますが、大事件が発生した!っていうその直後の「わーん」という雰囲気はドラマでもよく出ていたと思います。まさに、そこから締め切り(原稿を書き上げる時間)から降版(印刷のために見出しなどをつけたりする作業をすべて終わらせること)までにどこまでイケるか!という一連の動きはまさに「クライマーズ・ハイ」そのものでもあるのでした。

山描写がまだ少ないですが、冒頭の土合駅からのスタートは、いい感じでしたね。続きが楽しみです。

投稿: ruko | 2005/12/11 01:17

rukoさん、人名までとっても詳しい!凄いです。
私は読んだのもずいぶん前で、思い出しながら見ました。

ちょっと何言ってるのかわかりにくいところありましたね。早口の専門用語が多くて、いっそERの声優さんにお願いしたいような?(爆)

>まさか、残ってナイの?

今年になって、またいくつか検証しなおし、みたいな本が出てましたよね。
正確な現場は御巣鷹山ではない、とか。
なーんかすっきりしないと思います。

携帯があって、さらに携帯カメラもあったら、ほんとどうだったんでしょう。私もそれ思いました。

1985年なんて、ちょっと前に思えるのに、そういえばなかったんですね~。携帯。。。(@_@)

ドラマとしては綺麗な山が見られてうれしかったです。。

投稿: Ruramei | 2005/12/11 00:57

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