横山秀夫の「震度0」
NHKのドラマ「クライマーズ・ハイ」が予想を超えた出来だったため(レビューはコチラ)、あすの後編を前に、横山秀夫の最新刊「震度0」を読んでみた。
![]() | 震度0 横山 秀夫 朝日新聞社 2005-07-15 売り上げランキング : 930 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コレは好き嫌いがはっきり分かれるなぁ、というのが率直な感想です。以下短めに。
登場人物が一気に出てきすぎ…。あと、警察の制度や機構についての知識がある程度ないと、「○×部長」がたくさんいすぎて混乱する。その上、それぞれの部長の配偶者も出てきてしまうため、一気に読みつつも冒頭に戻って確認しないと、一応一通り理解しているつもりの私ですら混乱してしまいました。
あとは「震度0」のタイトルが暗示している通り、阪神大震災が発生した1995年1月17日の午前5時46分からストーリーが始まっている。ただ「クライマーズ・ハイ」が1985年の日航機墜落と「がっぷり四つ」で進んでいくのに対し、阪神大震災は「時計」(時間経過)の役割しか果たしていない。被災経験がある方にとっては若干ひるみがあるかもしれない。
警察が「太陽にほえろ!」や「西部警察」のように、警察署1署でガツガツ事件を解決していく、なんていうのはあり得ないのよ、ということを世の中の人は「踊る大捜査線」で知ったとも言えるんだけど、警察小説の王道で、警察というところは突き詰めていくとこうなのさ!というお話。騙し騙され、黙り黙られ、恫喝し恫喝される。誰も信じられない。情報はその"情報"としての価値以上に取引材料である。が、とにかく専門用語が多過ぎて例えば「組織vs.個人の良心」と感情移入するのがめちゃ難しいのではないかと思いました…。
というより、誰かに感情移入する前に話がグイグイ進んで、終わっちゃった(汗)。
もちろん、濃淡はありながらそれぞれの人間についての描写もあります。しかし特に生活安全部長の行動について若干飛躍がある部分もあり、興醒めな部分があるのも否めません。
バッドエンドで終わるかと思いきや…という意外な結末は、個人的にはほっとしましたが、甘いと思う人も多いかもしれません。でも読み応えは、あります。
| 固定リンク
コメント
うだじむさん、こんばんは。
いい本紹介してくださってありがとうございました。「健全な組織」なんていうものが存在するのか、私はわかりませんがいろいろ考えさせられました。
サツ官の奥さんたちの描写がすばらしかったですね。実際、いろんなタイプの人たちがいますが…。
投稿: ruko | 2005/12/17 22:34
TBありがとうございます。
震度0読んだんですかー。
横山秀夫の小説って、クライマーズ・ハイもそうですが、組織と個人という軸が基本です。
組織の嫌な部分が特に出てきます。
この小説もそうですね。人によって評価が分かれると思います。
投稿: うだじむ | 2005/12/17 21:12