山の迫力 氷壁〈第2回〉
今回はクライマックスともいえるK2登頂。観ていて息が苦しくなってきました…。繰り返しますが私は登山のことは、知りません。でも「高度8000m」での壮絶なシーンの数々がリアルに感じられたのは、この本を読んだからでした。このドラマにハマった人、山のお好きな方は、オススメ。
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著者はエヴェレストの商業登山隊にジャーナリストとして参加し、登頂には成功したものの、天候悪化で日本人登山家を含む多くの犠牲者を出した現場に居合わせました。これを読むまでは「酸素は地上の3分の1」(作品の原題も「Into Thin Air」といい、空気の薄さを表すフレーズです)というのがどんな状況なのか具体的にイメージが掴めていませんでしたが、山の恐ろしさを体験した人間としてこれだけ描いた作品も珍しいと思います。世界最高峰のエヴェレストが「お金を出せば登れる(ただし数百万円単位ではあるが)」山である、という現代の登山についての興味深い考察も必読。
ベースキャンプで2人を見守る森脇さん(石丸謙二郎)、男前でしたね。必死で無線で呼びかけるところも、朝、ブリザードの中外に様子を見に出ているところも。美那子さんは迷走気味か。以下、さらに感想続きます。
「空へ」を読んで、いまの登山の現場では酸素を使うことがある意味当然となっていて、「無酸素」で登るということがひとつの高いハードルになっていることを初めて知りました。なので、酸素を使用せず8000m級の山に脳細胞をどんどん殺しながら登っていく状況が私の中で、すでにいっぱいいっぱい。
さらにその標高で足を骨折というシチュエーション。想像を絶しておりました。そして「降りるために登る」という理不尽。穂高での事故以来、ソロ(単独)で山を登り続けてきた奥寺(玉木宏)の経験が役にたったといえますが、骨折しながら40m(でしたっけ)の垂直登高。死にたくない、という北沢(山本太郎)の叫びも「お前が好きだ」と励ます奥寺も、よかったのに。
何が起こるか予想はついていただけに、もうハラハラでした。墜ちるところの描写は、原案の小説の方がよりリアルというか、読ませるつくりでしたが…。
いずれにせよ、北沢の母(吉行和子)が「悪い予感」と心配していたように、口では「山に全力を投じている」と言っていた北沢が、マジックラインよりもレディースフィンガー(美那子のマジック)にとり憑かれていたのが致命的だったのではないかと思われます…。
ザック落とすなんていうことが、ベテランの登山家でもあるのでしょうか。としたら山って本当に恐ろしい。「そんなところになぜ好きこのんで」という疑問が出るのは、必然かも。
ヤシロの智之ボン(武田真治)が山の道具を売っているくせに山のことをあまり知らない様子である、という設定が、森脇さんがいちいち説明してくれるのと併せうまいつくりになっていると感じました。そんな人に頂上アタックの決断、してほしくないですよ…。あとは奥寺(原案では「魚津」)が山で日記をつけている、っていう設定をもってきたのも上手いナレーションでした。
森脇さんは今後、奥寺の味方であり続けてくれるかどうか、心配です。南部さん(伊武雅刀)はだいじょうぶそうかな。
美那子さん、ちょっとは北沢を思い出してあげましょうね。死んじゃってほっとしたのかもしれんが、気の毒。
最後に、チラチラ出てきて気になった小道具を1つ紹介。「クライマーズ・ハイ」のときから出てたので、スタッフの中に好きな人がいるのかも。
(画像をクリックすると楽天市場の「コーラルダイブ」というお店に飛びます)
フィンランドのSUUNTO(スント)というメーカーが出しているヴェクターという名前の「リストトップコンピュータ」。高度計やコンパスなどがついてます。私はダイバーなので、水深や体内の窒素の蓄積量を計算してくれる「ダイビングコンピュータ」を使っているのですが、SUUNTOのデザインはちょっと斬新で特徴的なので、見ればすぐにわかるんですよねw
【追記】TBさせていただきました。
土曜ドラマ「氷壁」#2 NHK、すごいじゃんか!! (ままこっちの何気ない日常)
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コメント
kaorihonokaさん、コメントありがとうございます。
私は海に潜るのですが、基本的に海には癒しを求めています。360度海水に囲まれて重力がなくなって青に包まれる、それはそれは至福のときなのですが。
山にももちろんマイナスイオンなどの癒し効果もありますが、本格的登山になると自分との戦いとか「征服感」とか「達成感」などがあり、そこに登頂し終わってみる景色の美しさが加わるということなのでしょうか…。
「空へ」は機会がありましたら、ぜひ。
投稿: ruko | 2006/02/05 23:48
(* '-')ノ ハジメマシテ☆
こんばんは。ご報告遅れましたがTBさせていただきました。お返しコメントどうもありがとうございました。
「空へ」、興味が出てきました。
山って魅力的ですよね。危険もあるけれど美しさが人を魅了し続けているような気がします☆
投稿: kaorihonoka | 2006/02/05 22:15
lovespoonさん、こんばんは。
予想以上に楽しんでいる自分がいて若干困惑気味ですが、明日が楽しみです。
美那子さんは八代社長にこれからチクチクといじめられるのでしょう、そしてそれがまた彼女を盛り上がらせる、と…。そこを楽しめるかどうかが分かれ道のような気もしています。
投稿: ruko | 2006/01/27 21:28
rukoさん、こんにちは。
2回目も迫力でしたね。
キャスト・スタッフの気合が伝わってくるようでした。
美那子があんまりですよねぇ。でもそんな美那子に思いを寄せている奥寺の心中を察すると今後の展開がちょっと辛そうですね。
原作を読んでいないので楽しみにしています。
智之ボンには、これこれ!って感じでしたがお陰で分かり易かったですね(笑)
明日は第3回、待遠しいですわ。
投稿: lovespoon | 2006/01/27 09:54
けいさん、こんばんは。
氷点下23℃でビバーク、それも風びゅうびゅうってことは体感温度はそれをはるかに下回るはず。いろんな意味で想像を超えてホワイトアウトですよね…。骨折の痛みだって相当あるだろうに。でもそんなときも低下する思考力のなかで美那子さんのこと考えてたのかな。
「ワルキューレ」の使い方も効果的で、ドラマが引き締まってましたね。音楽の使い方や石丸さんなどの渋い脇役もNHKならでは、という印象。山をのぼってきた森脇さんは、奥寺の生還を信じるというところが、よかった。最後まで味方でいてほしいです。
投稿: ruko | 2006/01/22 23:59
rukoさん、こんばんは。
参りました。山のシーン想像以上でしたよー。
テントを失って雪洞掘るシーンなんて、ちょっと動くだけでも苦しいのに、人が入れる穴なんて掘れるのか?しかも道具もあれだけで・・・もうこの辺から私も息苦しかったです。
高度8000mの低温に悪天候、そして骨折という条件で呻き叫びながら足を吊り上げつつ登るって!!でも自分で登らなきゃ生きて帰れないんですもんね。はああ~。
ここでの奥寺、物凄く頼もしかったですね。
「お前が好きだ」って言ってたんですね。。やっぱり。一瞬「え?」って思った不届き者です(^^;
石丸謙二郎さん、男前でしたね~~。
rukoさんがあげた2シーンはかなりうるうるしちゃいました。
「クライマーズ・ハイ」、なんと前編見逃してしまってるので、再放送希望してます(^^;
投稿: けい | 2006/01/22 23:36
ままこっちさん、こんばんは。
期待のドラマが期待を裏切らずよかったですね♪ 個人的には、「クライマーズ・ハイ」と同水準あるいはそれを超えるドラマをつくるのは至難の業だと思ってますが、手をかけてつくった感じが伝わってくるのは、とりもなおさず高感度高いです。
今後は人間模様が中心に描かれるので、美しい映像でごまかせなくもなってきます。どんな新しい「氷壁」ができるのか、楽しみにしています。
ps TB不調でした…。リンクを貼っておきましたので、ご容赦を。
投稿: ruko | 2006/01/22 23:04
rukoさんこんにちは。
氷壁、ズッポリはまってしまいそうです。おーい「けものみち」はどうしたんだい?と自分でも思いますが、あの迫力のある映像美と、役者とスタッフ渾身のロケ、演技、音楽とこれほど揃ったドラマ、さすがNHKだあー!と感服しきり。クライマーズハイもとても良かったので、期待していたんですが裏切られることなく楽しんで観ています。
来週以降は白い巨塔ばりの裁判シーンもあるかな?とまだ見所はいろいろあるので、今後も楽しみにしたいです。これぞNHKドラマ班の底力、だと思います。TBさせていただきます(うまくできるかな?)
投稿: ままこっち | 2006/01/22 18:25