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2006/04/15

アラミスと呼ばれた女

榎本武揚様大好きw なので、こんな小説を読んでみました。釜次郎さんをフランス語通詞(通訳)として陰で支えた別の「ロマンチ」さんの物語。完全なフィクションなのか、モデルらしい人が存在するのか。資料としてあたったものの中に「函館の幕末・維新-フランス士官ブリュネのスケッチ1000枚」という本があり、その中に登場するひとりからキャラクターを膨らませたようです。

アラミスと呼ばれた女アラミスと呼ばれた女
宇江佐 真理

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寡聞にして宇江佐さんの作品を一度も読んだことがなかったのですが、文体も大げさになりすぎずかといって堅すぎず、スイスイ読んでしまいました。以下少しだけネタバレしてます。

幕末とか明治維新について本を読むにあたっていつも疑問でした。オランダ、フランス、イギリス、アメリカと各国が入り乱れて倒幕だ佐幕だってワイワイやってたとき「ことば」はどうしてたのかと。榎本さんが江戸を脱走して開陽丸で北へ向かったときにフランス士官がついてった、とありますけど、フランス人、日本語喋らなさそうだし…。

通訳は現代でも「黒衣」さんであり、表舞台にはめったに登場しないので、幕末の通訳事情の一端というだけで、興味深かったです。

しかも主人公のお柳(おりゅう)は、女。

釜次郎さんの幼なじみ、というのとはまたちょっと違うのだけれど、初恋の人である釜次郎さんと節目節目で運命的な出会いを重ね、長崎でつちかったフランス語の能力を請われて釜さん専属のフランス語通詞に抜擢されます。ただ、女性は公務にはつけなかった時代だったので、男装して。

開陽丸に乗って仙台、そして箱館までついてゆきます。フランス士官の中では特にブリュネと親しかったという設定。主人公に「アラミス」とあだなをつけたのもブリュネでした。自分はダルタニャンだったらしいw

予想通りというか意外というか、な展開を経てお話は明治まで続いてゆきます。

佐々木譲の武揚伝の榎本さんはひたすら格好いいジェントルマンであったのに対し、この本ではものすごくさばけたキャラクターです。決めゼリフは「べらぼうめい!」www で、ぶっちゃけ「伝法」なトークをする人なので、こんな榎本さんはまた、「愛之助榎本」キャラではあり得なかったです、少なくとも私の中では。

明治政府に仕えた榎本さんに関しては、これまで読んだ本の中で拾って断片的にしか知識がなかったのですが「え、そんなところにも」というのがまたあって、守備範囲の広さに改めてびっくりです。農商務大臣を務めていた榎本さんは、なんと足尾鉱毒事件の責任をとって辞任して、政界から引退したのだそう。

土方さんはじめ最後の幕臣の方々は史実の説明のなかにちらちら登場しますが、残念ながらキャラクターとしては立っていません。主人公がフランス通詞なので接点もないし…。

お柳の生き方に共感できるかどうか、ってところまで考えるとちょっとしんどいかな、と思いつつ、まさに激動!な時代を自分の力で生きた強い女性がいたかも、という点でスッキリした読後感でした。通詞の仕事は終わっても最後まで黒衣だった、ということで哀しくはあるのですが。

というわけで、榎本武揚について読むなら、私のイチオシはこれ。

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佐々木 譲

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コメント

香音里さん、コメントどうもありがとうございます。

この本は榎本さんの「偉人」っぽいところはあんまり出ていなくて、佐々木さんの「武揚伝」などではあまり描かれていない素の部分が出ているのかな、と。好き嫌いはわりとはっきり出るような気がします。

図書館などにいけばこのブリュネのスケッチ1000枚、なんて本見られるかな、などと考えているところ。

最近歌舞伎で忙しいので(爆)次の榎本さん本は香音里さんのレビューを読んで決めたいと思います。また遊びに寄らせてください。

投稿: ruko | 2006/04/18 23:37

rukoさん、はじめまして。
私も今、榎本さんにハマってます。知れば知るほど器が大きくて、魅力的な人物ですよね。
榎本さんといえば愛妻家のイメージがあるので、「アラミスと呼ばれた女」のあらすじを読んだ時、ちょっと不思議な感じがしたのですが、でもすごく面白そうなので、読んでみたいです。

とりあえず昨日「陽が開くとき」と「幕末二万マイル」を購入しました。私のイチオシも「武揚伝」です。佐々木譲さんの新刊も楽しみですね。
またお邪魔します。

投稿: 香音里 | 2006/04/18 01:41

icewine5さん、こんにちは。

「三銃士」問題ですがとっても中途半端でw ブリュネのダルタニャンとお柳のアラミスしか出てこないんですよ…。若干ネタバレになりますが、アラミスって「優男」の設定ですよね。それで、身長146センチしかなく細いなよなよとしたお柳にアラミスというあだ名がついた、っていう。アトスとポルトス、出てきてほしかったのに。

本のタイトルだけ読んで「三銃士」関連の本だとはやとちりして「つまらなかった」ってレビューアップしてる人がいたくらいだったんで(苦笑)…。

榎本さんの多彩で聡明な点は本当に凄いですね。明治政府になくてはならない人材だったわけで、助命嘆願しまくった黒田清隆って酒乱だったらしいですけど人を見る目はあったということでしょうか。

>>息子の名前を付けるのに、自分の「釜」を分解して、「金八」とつけちゃう
ネーミングセンスはやはり父上譲りでしょうかね。お兄さんの幼名が「鍋太郎」だった、っていうことをかなり最近知って思わず笑っちゃったのですが。

幕末関係で次に読みたいのは佐々木譲さんがいま必死で校閲作業を続けてらっしゃる「幕臣たちと技術立国」です。

投稿: ruko | 2006/04/15 16:45

rukoさん、こんばんは。
レビュー待ってました(笑)

>決めゼリフは「べらぼうめい!」www で、ぶっちゃけ「伝法」なトークをする人
武揚伝とはまた違った魅力がありそうですね。
男装で「アラミス」って三銃士とも関係があるのでしょうか。

私も「アラミス~」先日、図書館で予約しました。この本をGETする頃までには、「武揚伝」を読み終わらせたいです。

>守備範囲の広さに改めてびっくりです
私は最初、この榎本さんのマルチな才能ぶりに惹かれました。
函館戦争で敵対したことで批判もある中、明治政府で文部大臣、外務大臣、農商務大臣、条約改正委員会の委員長、etc・・・これだけの活躍でがきるのは本当にすごいことですね。
やはり彼は生き残るべくして残った人だと思います。

しかも、そんな優秀なインテリでありながら、男前な江戸っ子ぶりがまた好きだったりします。
息子の名前を付けるのに、自分の「釜」を分解して、「金八」とつけちゃうあたりも(笑)

先日、「榎本武揚から世界史が見える」という本を購入したので、武揚伝とアラミスと呼ばれた女の後に読んでみるつもりです。

投稿: icewine5 | 2006/04/15 02:09

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