2006/05/30

陽が開くとき-幕末オランダ留学生伝

久しぶりの榎本さん本です。読もうと思いつつほかのことに手を取られて長い間ツンドクになっていました。「榎本さん本」といってもタイトルの通りで、主人公は釜次郎さんと共にオランダに留学した別の武士(ただし身分は"職方")、中島兼吉という人物。新潟に住んでいたことがあるので高田藩士だったことを改めて知り、ちょっと別の共感がありました。

陽が開くとき-幕末オランダ留学生伝陽が開くとき-幕末オランダ留学生伝
東 秀紀

日本放送出版協会 2005-12
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この本にはふたつの大きな特徴があります。著者の東さんは専攻が建築/都市工学ということもあってなのか、ディテールがとても詳しい、というか写実的。例えば、留学生たちの足跡を丹念に追って、デンハーグやライデンでのそれぞれの下宿のあった詳しい住所、所番地までが記されています。

satesateさま、オランダ行きの前に予習はいかがでしょうか。

もうひとつは主人公中島兼吉の孫娘が柳宗悦の妻であったということが、物語にまた別のベクトルを与えている、ということだと思います。以下、ネタバレは軽めにしつつ。

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2006/05/29

米原万里さんの訃報

どこかのオンラインサイト(ALCだったかな…)でエッセイを書いていらして、がんであることを告白されていたので病状が気になっていた翻訳者の米原万里さんが亡くなりました…。まだ56歳だったそうです。

作家でロシア語通訳者の米原万里さんが死去 (本よみうり堂

ガセネッタ&(と)シモネッタガセネッタ&(と)シモネッタ
米原 万里

文藝春秋 2003-06
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→本来は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「嘘つきアーニャの真赤な真実」にしようと思ったのですが、実はまだ未読だし、翻訳者/同時通訳者の本音がたくさん書かれていたこの本が好きだったので…。

米原さんはいわゆる「帰国子女」の草分け、それも英語圏からではない、ということで、モノの見方が独特でした。けれどテレビに出ても決して出演している一種の「ハレ」におもねることなく常にクールにコメントし、お話されていたのがいつも印象的でした。

外国語の遣い手としてテレビ出演が多い人といえば、英語のアノおばさまを思い出すのですが、いわば海外経験のない「叩き上げ」を売りにしている彼女と、いろいろな意味で対照的だったと思います。月並みですが、ご冥福をお祈りしたいと思います。

【追記】
米原さんのプロフィールを探している方が多いようですがWikipediaにあがっています。

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2006/04/15

アラミスと呼ばれた女

榎本武揚様大好きw なので、こんな小説を読んでみました。釜次郎さんをフランス語通詞(通訳)として陰で支えた別の「ロマンチ」さんの物語。完全なフィクションなのか、モデルらしい人が存在するのか。資料としてあたったものの中に「函館の幕末・維新-フランス士官ブリュネのスケッチ1000枚」という本があり、その中に登場するひとりからキャラクターを膨らませたようです。

アラミスと呼ばれた女アラミスと呼ばれた女
宇江佐 真理

潮出版社 2005-12
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寡聞にして宇江佐さんの作品を一度も読んだことがなかったのですが、文体も大げさになりすぎずかといって堅すぎず、スイスイ読んでしまいました。以下少しだけネタバレしてます。

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2006/04/02

らぶりん本、ヤな予感的中

江戸の「御曹司」たち(染五郎さんや勘太郎さん、海老蔵さんなど)や他媒体での活躍が歌舞伎での人気に反映しているシドーさんは勢いよく写真集や本出してますが、そんな中で異彩を放ってるのが愛之助さんの本。役者さんとしては「これから頑張って〜」状態なのに"評伝"って…と思いながらも、ついAmazonが500円クーポンくれたので差額分払って買っちゃいました。

歌舞伎修業--片岡愛之助の青春歌舞伎修業--片岡愛之助の青春
松島 まり乃

日本放送出版協会 2002-07
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サクラも散ってしまう嵐のようなお天気だったのでまた〜り読みましたが、続けて口直しの本を読む必要がありました(ちなみに格調高く戸板康二先生の「歌舞伎の話」)…orz 子役や女形だったころの写真、顔をつくるときの連続写真などの「お宝画像」、あと挿入されている歌舞伎用語の解説以外は、ちょっとまじでカンベンって思ってしまった……。シクシク。以下ネタバレw

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2006/03/30

和樂到着

定期購読してみることにした和樂が届いていました。メールボックス、あふれる(汗)。

仁左衛門さんの写真、どれも美しかった…。1月に松竹座の2階から双眼鏡で確認した仁左衛門さんは少しお疲れの様子だったのですがそんな感じも全然見えない篠山紀信センセイの写真も、スゴすぎ。でも、特集を全部読んで思ったのは、今の仁左衛門さんももちろん素敵だけど若いころのを拝見したかったなぁ、というのが正直なところです。

rikaさんに教えていただいた松嶋屋さん集合写真もじっくり拝見。魚眼レンズで撮影したのか、畳のラインがちょっとヘンなのが気になってしまう気の小さい私…。仁左衛門さんは今とそんなに変わらないといっても良いと思いますが、秀太郎さんがシャープな印象で「!」と思いました。

たぶん、私の中の秀太郎さんってこの写真のイメージだったので、愛之助さんに注目するようになって最近の秀太郎さんの写真を拝見して「え、こんな人だったかな」と思った理由がわかりました。そんな意味でも先日の「芸能花舞台」のお顔がつやつやで福々しい秀太郎さん、別人w

さて、仁左衛門さん特集以外の雑誌はというと「和」に絞った雑誌だけに、どこか既視感もありながら(例えば「京都で道具を買う」特集とか)、丁寧なつくりで次回も楽しみ。玉三郎さんのもこれ、連載なんですよね…。京都のお花見はことし間に合わないと分かったのでw雑誌で堪能しました。

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2006/03/24

和樂4月号、再度増刷出来!!

小学館の店頭販売しない「和」の月刊誌和樂。着物にも挑戦したいし年に何度かは歌舞伎も特集するようなので、気になってました。歌舞伎を特集するときは歌舞伎座で買うことができると聞いていたのですが、三月の舞台2日目に行ったけど影も形もなく。

仁左衛門さんを特集しているということもあってなのか、帰宅して和樂のサイトに行ったらすでに品切れでした。その後増刷されたようなのですが、気がつかないうちにまた在庫がなくなってたんで、こまめにサイトをチェックしていました。

さっき見たら在庫「アリ」になってました〜。書店で立ち読みする機会もあったので定期購読してみることに。

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2006/03/23

閔妃(ミンビ)暗殺

資料を探して立ち寄った書店でなぜか、平積みになってました。なぜいまのタイミングで、なのかは正直わからないのですが、時代臭が若干強過ぎてハイスピードで読み進めない「けものみち」を横に置いて読みました。

閔妃(ミンビ)暗殺-朝鮮王朝末期の国母閔妃(ミンビ)暗殺-朝鮮王朝末期の国母
角田 房子

新潮社 1993-07
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日本人が朝鮮王朝の王妃を殺害した、ということは知識としてもってましたが、背景などについてはまったく知らなかったので、征韓論から1910年の「併合」に日本がどう関わったのか、という点も描かれていて非常に興味深かった。大鳥圭介さんもご登場。ちらりとですが榎本武揚さんも出てきました…。清国の公使もやっていたのね。

「チャングム」的には、宮中、特に後宮の仕組みが少し出てきて知識の補足にもなります。

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2006/03/13

雑誌「助六」の段治郎さん

歌舞伎のレビューをしているブログ巡りをしているうちに「助六」という雑誌に段治郎さんが出てると書いてあり、調べてみたらCAR GRAPHICとかNaviとか出してる二玄社発行の雑誌でした。

っていうか、Naviの別冊ってなんか超ビミョーな位置づけすぎるw 一時期、Naviの「エンスー」とか大好きで定期購読までいかないけどよく読んでたんですけど、車の走行距離が1年で1000km台になってしまったので最近はとんとご無沙汰だったんで、手にとってまたちょっと新たな感慨が。

続きはkabuki雑記帳に移動しました。

雑誌「助六」に段治郎さんでどうぞ。

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2006/02/26

二・二六事件から70年

「二・二六事件」。陸軍の青年将校が中心になってクーデターを起こそうとし、首相官邸などを制圧したものの失敗に終わった1936年の事件からきょうでちょうど70年です。大学生の頃、何がきっかけだったのか覚えていないのですが一時期、この事件について猛烈に本を読みまくった時期がありました。関連の本は何冊か後段で紹介しますが、まずはコレから。

昭和史発掘〈1〉昭和史発掘〈1〉
松本 清張

文藝春秋 2005-03
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私がもっているのは、表紙に握手している手が描かれていて、それがどんどん巻が進むにつれてキモチ悪くなっていく文春文庫版…。新装版、出てよかった。現代の、どこか不安で不穏な空気に懸念を抱いている方は一度読んでみてほしい本です。

いま、松本清張原作ドラマ「けものみち」が話題ですが、この本では昭和初期の不安な世相と、それを背景に起こった数々の複雑怪奇な事件を丁寧に追っています。ノンフィクションでももちろん、圧倒的な筆力。本のボリュームの約半分は「二・二六事件」について書いてて、それはそれで猛烈におもしろいんだけど、むしろ読んでほしいのは前半のイヤな事件の数々。

このブログではこれまで触れてきませんでしたが、ライブドア事件と、それに関連して沖縄で亡くなった野口英昭氏に関する動きや報道、ブログを見ていると松本清張が書いていた昭和初期の事件からも似たようなニオイを感じるんです…。本を読むと、世の中は急に変わるわけじゃなくてちょっとずつちょっとずつおかしくなっていって、ある点で沸騰するということがわかって、いま時代は確実にそういう方向に向かってると感じてるので、震撼してしまうのでした。

二・ニ六事件に関するその他の本やDVDは、こちらから。

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2006/02/10

「北のろまんち」榎本武揚の本

やっと佐々木譲の「武揚伝」(ぶようでん)を読み終わりました…。理想の男性は、と聞かれて「榎本武揚」って答えて引かれている自分の図が目に浮かんでしまうくらい(汗)。地球儀と北斗七星、そして船と蒸気機関を愛し、幼い頃から際立って賢く、何事にもひたむきで「理(ことわり)」が通っており、オランダ語、外交の公用語フランス語、そして英語も自由自在に操る人間として描かれてました。ヒールとして配置されているのが勝海舟なので、勝さん好きな方はカチーンとくるかも、ですがw。

武揚伝〈4〉武揚伝〈4〉
佐々木 譲

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文庫本は(1)幼少期から長崎留学(2)ヨーロッパでの生活(3)江戸開城から脱走(4)箱館戦争--と大まかに分けることができます。4巻のラスト近く、五稜郭を後にするときの描写がドラマチックです。それまで淡々と史実を積み上げて書かれてきているので、胸に迫るものがありました。ちなみに、大鳥さんとも土方さんとも、最初から最後まで良好な関係(笑)。

このほか童門冬二の本も読みましたが、最初に読んだ阿部公房の本(レビューはコチラのかなり後段)と「武揚伝」の2本でとりあえずはOKかと思います。以下もう少し感想を。

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